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2004年10月 5日

パートアルバイトと正社員

 介護保険の対象者は、現在の「四十歳以上から」となっていますが、徴収対象年齢を「二十歳以上から」に拡大する方向で厚生労働省が現在検討を勧めています。新聞によると、この案が実現された場合、大手企業では労使合わせた保険料負担額は一千五百億円、企業負担は平均1.36倍以上に増えることが、社会保障審議会の介護保険部会委員の試算で四日、わかったそうです。
 当たり前ですが、負担の増える企業は猛反発。特に若手の多いIT企業をはじめとするベンチャー企業は猛反発することは想像に難くありません。平均は1.36倍ですが40歳未満の人の多いベンチャー企業だと3倍に負担が増えるところもあるみたいです。

 厚生労働省の制度改革の青写真はいつも、「個人性善説」「企業性善説」をとります。
 保険料を値上げしたら、企業はしぶしぶでも文句を言いながらでも保険料をちゃんと払ってくれるだろう。国民も国保や国民年金の滞納はしないだろう。これが前提です。
 これが幻想だというのは、最近の厚生年金の加入義務のある会社が、手続きをしない(未加入)未加入が、大きな社会問題となっている事を見れば明白です。いわんや、国民健康保険や国民年金においては、納付率が6割。

 ある人が会社に属して仕事をしているとき、労働者か否かということは、契約の内容ではなく「その実態」で判断するのは、労働法を少しかじった人なら常識です。いくら契約書に「請負契約」と記載してあっても、その実態が「仕事の内容や段取り等に指示命令系統がある場合など」は、雇用契約として扱われます。
 しかし、素人だとこういうことがわかりませんから、入社時に「あなたは請負で入社ね」といわれれば、そんなもんかなあ なんて妙に納得してしまうのです。だから、残業は出ない、健康保険は国保、年金は国民年金。こういう待遇でも自分の地位をちっとも疑わない。
 そうなると、会社は健康保険と厚生年金の負担はしないですむし、残業代を支払う必要もない。ずる賢い経営者なら、役所にばれるまで「とりあえず請負でやっちゃえ」なんて思ってもおかしくはありません。
 こういう脱法的な動きが介護保険の保険料の大幅値上げで、さらに加速しなければと憂慮します。特にIT関連は中小企業が多いので、労働法の遵法意識はきわめて希薄ですし、いろいろと問題を抱えているところが多いです。

 昨日の新聞に、フリーターからも住民税を取るという話がでていました。フリーターと言われる短期の労働者は、1月1日時点で在籍しなければ、1月2日から12月31まで在籍していたとしても、住民税を払わなくても良い仕組になっていたのだそうです(これはわしも全然知りませんでした)。
 それだと、普通に12月27日退社、1月4日再雇用なんてやるでしょうね。(わしが人事担当者ならやります)

 社会保険のように会社がフリーターの住民税の一部を払う必要はありませんから金銭的なコスト負担はありませんが、雇用主である企業に給与支払い実績の報告させたり、あるいは給与から住民税を天引きをしたり、雇用主のほうにも物理的なコストはかなりかかるわけです。

 フリーターだろうがパートだろうが正職員だろうが、同じように働いている人は労働条件にあまり差をつけてはいけないと思います。 でも明らかに、正社員を雇うよりパートアルバイトを雇ったほうがコストが低い。第一給与も安いし、健康保険の会社負担も厚生年金の会社負担もないから差は歴然です。

 介護保険の20-39歳の人の加入の話も短期間、短時間で働いているパートアルバイトには原則関係ありませんから、パートアルバイトを沢山雇っている会社のほうが、負担が少なく正社員を多数雇用している会社より俄然有利になります。

 冒頭の話のようにせっかく住民税の話では、パートアルバイトの正社員との不合理な有利性を塞いだのですが、別のところでまたパートアルバイトの有利性が出てしまいます。
 さらには年金保険も今年の秋から値上げです。これもパートアルバイトのコストと正社員のコストの差が出る原因です。

 厚生労働省の中でも、旧労働省はパートアルバイトの正社員化、あるいはパートアルバイトの待遇と正社員の待遇をなるだけ近づけるような方向性を示しているのに、年金、健保を扱う旧厚生省は、正社員(あるいは正社員に労働条件が近いパートアルバイト)のみの入れる、年金、保険の保険料をアップすることにより、実態としては企業の従業員のパートアルバイト指向に拍車をかけているわけで、外からは同じ官庁で矛盾する動きをしているように見えます。
 1つの省庁としての大まかなアウトラインがないですよね。

 まずパートアルバイトと正職員を同じに扱うこと(保険加入基準の大幅引き下げ、当然同じ仕事なら同じ賃金にするということも明言して)を推し進めてから後に、保険料を値上げするというプロセスにしなければならなかったのではないでしょうか。

 パートアルバイトの年金、健保への加入の問題は以前からくすぶり続けている問題です。パートアルバイトの多い小売業のほうが大企業が多く、反対しても政治に圧力をかけやすいのかもしれませんが、いずれは決断しないといけない問題ですから、国としても早めに対応を考えたほうがいいと思うのですが。どうも難問は先送りのようですね。
 

投稿者 okesan : 2004年10月 5日 11:41

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