5525万円、高いか安いか

| | コメント(6)

 最低気温が25度を下回ると、さすがに快適です。
 久しぶりに窓を閉めて寝ました。風邪引かなかったけど、秋も近いのかなあ。

 某掲示板でかなり激論を戦わせている下の記事。わしも興味深く読ませていただきました。

 「三重県尾鷲(おわせ)市の市立尾鷲総合病院が雇用していた唯一の常駐の産婦人科医(55)との継続契約で交渉が折り合わず、市は31日、雇用を断念した。
 昨年9月からこの医師は24時間、病院に常駐し、夜昼問わずの出産に備えた。この1年間でこなした出産は152件(病院調べ)で、休みは年末の2日間だけだったという。
 今回の継続交渉で市は年間報酬額4800万円を提示。医師側は現状維持の5525万円と月1回の週末連休などを求めていた。市が条件面の見直しを示したのは、医師の年間報酬額がほかの医師に比べ約3倍も高額だったため。病院関係者らからも批判の声が上がっていた。市は最終的に報酬面で譲歩したものの、休日問題などで折り合えず、医師から「心身ともに疲労した」との訴えもあり、結局交渉は決裂した。」

 非常に特殊なケースです。
 報酬が値下げ後の4800万円ということは、月給400万円。
 確かに、「一般庶民的」には大きい額ですし、尾鷲というような地方の町ではめったにいないほどの報酬額ですけれども、この医師の労働条件はめちゃくちゃですね。月2どころか年に2回しか休んでないって。。。年363日労働。しかも産科は医療過誤訴訟が一番多い診療科目なんだそうです。

 さらに医師は仕事上、非常時は呼び出されますから、家にいても、夜中の2時3時に呼び出されて、病院にかけつけてたんだろうな。この辺が、急患の少ない耳鼻科や眼科との違いか。

 医師という特殊な状況を考えるとこの報酬が高いのか低いのかわしにはわかりません。確実なのはこの街の市立病院に「産婦人科医」がいなくなったことです。わしが産婦人科医でもこの労働条件は「絶対いやだ」。労働法的にはこんな状況が良く許されてるなと(苦笑)。評判のいいお医者さんらしいけど、これじゃ手抜きしないとやってけないですよ。

 市議会議員の一人が、しかも、無責任に「年収3000万円もだせば、大学の助教授クラスの人間がどんどんやってくる」なんて言ったものだから更に火に油だそうです。

 残念ながら、東京や大阪のような大都市ならば、そういう大金を積まなくても医師が確保できる可能性が高い。数が多いですからね。でも陸の孤島とはいわないが、田舎の地方都市なんてのは、普通でもよほどの理由がないと行きたがらないんですね。それが一般的認識だと思うんだけど、市議会議員さんはその辺の事情がわからなかったのかな。こういうところでも住みやすさってのが関係してくる。

 弁護士も田舎では極端に不足しています。これはちょっと理由が医者と違うのかもしれない。田舎の弁護士の案件というのは「巨大な企業買収とか」こう、やりがいのあるでかい事件がすくなく、専門性もなく(田舎だと何でも屋になる)、小さな事件をたくさん抱えるのが通常で、やる気のある若手には「魅力的じゃない」部分があります。

 それはともかく、人間、都会にすんでいようが田舎にすんでいようが、等しく病気になり、事件に巻き込まれます。あまりそういう「生活に不可欠なもの」が偏在するのはよろしくないんですけどね。

 産婦人科医の不足は深刻な問題で、これからも厳しくなることはあれ緩くなることはない様子です。わしの田舎の隠岐の島でも常勤産科医がいなくなって、本土で出産なんてことになったらしいですが、幸い医師が見つかったとのこと。でもそれも期間限定ですから近いうちに医師を見つけないとまた同じ騒ぎになりそう。

 少子高齢化という時代なのに、行政は足元がきちんと定まってないような気もします。 世の中は6日の紀子妃の出産に大騒ぎなんですが(本当に男なんですかね?某週刊誌さん断言して大丈夫かなあ)、もうちょっと「子供を生みやすい」社会にしないとやっぱり少子化進展しちゃうよなあ。

コメント(6)

モトキーナ :
ほぼ年中無休で、妊婦のお腹ばかり見てるのは、本当に大変でしょうね…。それでいて、3日に1回のペースでお産もある。自分が「出産補助マシン」になったような感覚で、人間誕生の感動なんてものもうせてしまってることでしょう…。人間過労してると、悲観的になってしまうし。もう、お金の問題じゃないですよね。いずれにしても、年収が一般医師程度に激減したとて、それは世間の一般相場と比べたら高く、高額所得者であることは間違いない。生活レベルが極端に変わることもないし、「税金が安くなる」利点もありますよね…w  それにしても田舎の医師不足、深刻なんですね。だからこそ、「若い医師が離党に赴任し、そこで奮闘する話」などがドラマなんかになって人気になるのかな? 都会人からみたら、それが非日常的、人間らしい生き方として感動的な話に思えるから。しかし、ドラマみたいに「のんびり人間愛を育てながら赴任」とはならないんですね…。だって、現状はほぼ年中無休で3日に1回のお産!?。それとも、その市だけが出産ブームに沸いてるのか??? 【提案】5000万円の予算があるなら、2人の医師を高めの報酬で雇い、交互で使うってできないのか? 医師はド田舎病院は暇でつまんないけど、半年間の長期休暇付。BPみたいに長期旅行したいヒッピー医者だっているだろうし(外国には結構いますよね)、そういう病院に志願したい人もいるんじゃないかな?
よっきー :
婦人科手術と妊娠4回経験した私の気持ちです。この常駐の先生は、産科も婦人科も受け持っていらしたのでしょうか?一方だけでも大変なことなのに。医師の給与の標準はわかりませんが、産婦人科の医師のご苦労には是非いい待遇で応えて欲しい、そう思います。出産に関しては医師より助産士の力がウェイトは重いとはいえ、産科も婦人科も医師を始め心に余裕のあるスタッフの力がどれだけ心強いものか。特に産科は母体と赤ちゃんの二つの命を診ます。 自分の力だけで産めればいいんですけどね。
つるかめ :
こういう問題はもはや金の問題ではないでしょう。 フリーやっていると実際に「相場の3倍」なんて見積もり出すことがあるんですけど(笑)、要は「やりたくありません」って意思表示なんです。それでも通っちゃうことがあって、そんなときはガチガチの契約書作ってから「金・金・金・金…」ってつぶやきながらやりますけど(爆)、そんな生活は「年」の単位で続けられるものではありません。行政が「医師が生身の人間」であることを忘れた対応しちゃったとしたら、浅はかとしか言いようがありませんね。
okesan :
>モトキーナさん 欧州の医師はちゃんと休暇とってますよね。(アジアで見かける)、やっぱり休みは大切ですよね。特に「人の命を守る」という、失敗できない仕事なんですから。 で、提案なんですけど、なかなかそう上手くいかないみたいです。全国の産婦人科が悲鳴をあげているのでとても2人も確保できないみたい。 八重山ー石垣島も産婦人科医がいなくなるって記事がでてました。田舎に行ってもいいよという医師は奪い合い状態みたいです。 医師数を増やしかつ産婦人科医を増やしかつ田舎にいける人を増やすという地道な作業を続けないとダメですよね。 >よっきーさん 産科と婦人科両方やってるのか知りませんが、田舎の病院のことですから、たぶん両方やられているんでしょう。(いやだとはいえないような) どうしても妊娠には、死産および母親の命の危険というのがつきまとい、一定の率で「死」というのが避けられない。でも、残された遺族はその悲しみを向けるため、訴訟に走る悪循環ができてるみたい。 そういえば、わしの同級生も1人出産の時亡くなりました。やっぱり残された夫は「訴訟を考えてた」みたいです(実際やったかどうかは知りませんが)。 昔の人は、お産につきまとう死を運命と覚悟して子供を産んだのでしょうが。 >つるかめさん えー、相場の3倍。。。。 何でそれで頼むんでしょうね。よほど金があるのか、馬鹿なのか。ガチガチに契約書作るのわかるなー、何かトラブルが起きたら、こんなに金だしたのに何だって言われそうですもんね。 しかし、自分で最初から拒否したいような仕事って、本当に神経がボロボロになってしまいそうです。
昔の人は、お産につきまとう死を運命と覚悟して子供を産んだのでしょうが> これは、本当は今だってそういう覚悟で産まなくちゃいけないんじゃないかと・・・。(痛いだのなんだのと騒いでお産するなよ、快楽の結果だぞ!苦しいのは赤ちゃんも一緒なんだし、病気じゃないんだし、子育てに比べりゃたかだか数時間の痛みじゃないかよーと、乱暴な私) 冗談はさておき あの、横浜の産婦人科の亡くなった友人だって色々な事情は知っています。大事な友人です。でも、度主人の行動を否定するつもりは毛頭ありませんが、出産は100人なら100通りのお産があって100パーセントの安全なんてないんです。どんなに医学が進んだって、無事なお産ができることはありがたいこと。 信じられなくても、誰のせいでもない事故だってある。 もちろん、医師の怠慢の医療事故については責任追及は必要です。 ただOKEさんおっしゃる通り、悲しみを向けるための訴訟はやっぱり悪循環で、逆に医師不足を呼んでしまう結果にもなりかねませんよね。横浜の友人のご主人は報道関係のお仕事をなさっていて、一般の人間とは違う、もっと何か深い意味でああいう形を取ったのかもしれませんが。 何科であれ医者はみんな最初は志を持ってなった人が大多数でしょう。それに研修医が科を選ぶとき産婦人科を選んだのはあの、お産の素晴らしさを見てなった医師も多いはず。横浜の医師だって、直接友人の死には関係なくても、やっぱり怠惰な部分はあったでしょうし、遠くは国にも責任はあるでしょう。 鷲総合病院のこの先生、やっぱり本音はお金じゃなくて休みが欲しかったんですよね、きっと。先生も患者さんも本当に気の毒。母は(実は)子宮体がんで、その病院の産婦人科には医師7名、非常勤1名、研修医6名もいるんですけどね。うーん。 出産どころか卵巣がんで命の維持でさえ出来なかったかもしれない私が、3人とも色々トラブルありながらも無事産めたのは物凄いことだと思っています。(もっとも長女は発達障害がありますし、チビは色覚異状ですが。) ちょっと話がずれますが、 友人のことや母の病気やらで、人間宗教って大事なのかもな、って最近思います。妥協して受け入れるのではなく、素直に死や老いを受とめて、安らかに穏やかに日々を送るためには・・・。
okesan :
> 人間宗教って大事なのかもな 老後は、ビッグスクーターで、温泉めぐり+寺社めぐりが夢です。 幾ら強がっても、やっぱり人間って小さいものだという気がしますし。やっぱり最後は心安らかに終わりたい。 海外でも宗教施設は何か心が洗われます。だから好き。ただイスラム教のモスクは異教徒OKのところと絶対ダメってところがあるんでなかなか難しいですが。 でもでも最近は超うさんくさい宗教もたくさんあります。人間って弱いときに(心の隙間があるとき)ってフラリと入っちゃうんですよね。 わしの知り合いの某君は、超一流大卒、現在弁護士をやってますが、昔某宗教に入ってて(桜田淳子さんのやつ)、教義の矛盾に気がついて脱会するまで10年かかりました。彼のような頭脳明晰な人でもひっかかるんだなと、、、 なんて馬鹿なと思いますが、人間精神的に疲れて弱くなる時期が大抵あるんです。

コメントする

このブログ記事について

このページは、が2006年9月 2日 11:32に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「南の国の扇風機」です。

次のブログ記事は「サンマ、ウマーっ」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.0