世間をお騒がせして
昔、若い頃に謝り方という文章を読んだことがある。
その文章を書いた人は、下っ端の頃理不尽な会社の方針等に不満があり、宴席でそれが爆発して大暴れ、周囲に散々迷惑をかけ、きちんと会社の偉い人に謝らないと「会社をクビ」になる状況に追い込まれていたそうな。
でも、自分のやったことは周囲に散々迷惑をかけたかも知れないけれど、「会社がおかしいこと」には断固とした自信があった。
で、会社の偉い人に謝りに行く際、実際に周囲に迷惑をかけた部分に関して、「ご迷惑をおかけしました」と謝るけれど、「私が悪かった」というような謝り方は絶対にしない(強要されたらやめる覚悟)と心に決めて謝罪にいったそうです。
その頃まだ尻の青いわしは、ホホーそういうものかと思って読んでいたのだが、それがずっと頭の中からこびりついて離れない。
で、その頃からずいぶんたった現在。あまたの企業、役所で不祥事が頻発していて、不祥事があると偉い人がマスコミの前に出てきて、物凄い数の人が素直な謝罪ではなく、
「世間を騒がせて申し訳ない」という謝り方をしている。
言い古されたことかもしれないけれど、これ、自分が悪いということは一言も言っていないですよね。上の「ご迷惑をおかけしました」という謝り方であって「悪かった=責任があった」という謝り方ではない。
不祥事が発覚して、全体を把握する前に世間が大騒ぎしていて混乱して、「世間をお騒がせして」はあっても、不祥事の全体像がわかってからは「世間をお騒がせして」はないだろうよ。全然謝ったことにはならない。
不祥事責任を、パートアルバイト、納入業者、単なるヒラ社員といった弱い人間に全部押し付ける船場吉兆は問題外としても、何か経営者のモラルの低さ、最近気になりますし、日本語のすり替えで、いかにもしおらしくしていて、でも会見が終わった後に舌を出しているようなイメージの謝罪内容も気になる。
謝罪会見を聞く結構な人が、「ご迷惑をおかけしました」というような単なる「形式的な謝罪」に更なる違和感と不快感を持っていると思うのですけれどねえ。わしはこういう謝罪を聞くと、「この会社二度と立ち直って欲しくない」と思う。
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